震災後の食卓に [放射能のある暮らし]
震災直後、知り合いの牛屋さんからたくさん牛乳をいただいたので、初めてカッテージ・チーズを作ってみました。「ちょっとしょう油をかけて食べると、豆腐みたいでおいしいよ。」と言われましたが、ブルーベリージャムをかけても、クリームチーズよりもさっぱりしていて、とってもおいしかったです。
理由は詳しく知りませんが、ちゃんとした設備を持っていて許可されてなければ、牛屋さんが直接牛乳を売ることはできません。牛乳は毎日出るもの。震災で集乳車が来ないからといって、搾らないと、乳牛は乳房炎などにかかってしまうので、乳は毎日搾らなくてはなりません。牛屋さんは餌の量を減らし、わざと乳があまり出ない状態にしていたそうですが、搾乳は1日2回が1回になっただけ。搾った牛乳は行き場がなく、牛屋さんが自分で処理(自分ちで飲む・あげる・捨てる)しかない・・・。そんなわけで、うちは「なにかあっても責任持てないよ」と言われたその牛乳を、タダでもらったのでした。
この頃スーパーはと言えば、生鮮品の棚はガラガラ、当然牛乳もしばらく入ってこない状態が続いていたので、いただいた牛乳は貴重品。このあと何回かもらったので、事情を説明して、納得してくれた方に差し上げましたが、みんな売ってる牛乳より甘くておいしいと喜んでくれました。今回のことがなければ、うちの娘も、搾って沸しただけの牛乳のおいしさを知る機会なんてなかったかもしれません。
これは、娘と玄米に混じった籾殻を取っているところ。 爆心地にいても、玄米食をしていた人だけは助かったという話を聞き、今回の原発事故をきっかけに、玄米食も試してみました。
もともと胃が弱い上、あまりよく噛まずに食べてしまう私は、おいしいとは思っても、何となく今までは玄米を敬遠していました。しかも、玄米に混じってる籾殻をとるのも手間暇かかるし、子供がご飯弁当の時は白米でないと・・・というので、炊飯器に玄米モードがあっても、使ったことはありませんでした。
でも実際炊いてみると、思ったより柔らかく炊け、それほど胃にひびきませんでした。良く噛むので唾液の分泌がよくなり、便通も改善され、娘もおいしいと、一緒にもみ殻取りをしてくれるので、炊くのはおっくうに感じなくなりました。今後、毎食とはいきませんが、休みの時を中心に玄米も食べていきたいと思います。
このほか、いっぱいあっても、いままであまり食べなかった“たくあん”梅干し”“こんぶ”なども、積極的に毎日の食に取り入れ余計なものを食べなくなったことで、なんだか前よりスリムで健康になったかも…?!です。
この機会に、今までの生活を見直してみようと思います。エネルギーの3割を原発に依存していると言われるのなら、その分無駄を減らしても快適に生活できるように。原発のためだけでなくとも、地球温暖化とか、生活習慣病とか、経済状況とか、みんな“過剰”の害が未来を脅かしているように思えてなりませんでした。節約は苦しんでするものでなく、みんなで工夫して楽しんですれば、シンプルで快適な暮らしの向こうに、安全で安心な暮らしもあると思います。